Across the Universe

天文ブログでスタートしたつもりが、いつの間にかB級グルメブログになり、さらにダラダラ日記に変化しつつあります。

ビクセン

三脚の話

かつては望遠鏡の三脚と言えば、木製が当たり前でした。

思い返すと、1970年代に商社の光洋がセレストロンのシュミットカセグレン望遠鏡を輸入していた頃、フォーク式の赤道儀に乗った8インチ望遠鏡の三脚が、最初に見た赤道儀用金属脚だったと思います。木脚脚を見慣れていた私は、ずいぶん細いけど揺れないのだろうか?と感じたものでした。当時の物はステンレス製だったのか、スチール製のメッキだったのか、実物を見たことが無いのでわかりません。

高橋製作所などは、ずいぶん最近まで木製三脚を多用していましたよね。国内では、80年代に旭光学がPENTAXブランドで85ミリ、100ミリのアクロマート屈折赤道儀を出した際に、アルミ三脚を標準装備したのが早かった方ではないかと思います。70年代初期にビクセンがスチール製の伸縮脚を60ミリ屈折経緯台に使っていたことがあったと記憶していますが、正直「あだ花」的なものでしたよね。

PENTAXの望遠鏡以降、各社がアルミ製の三脚を使い出しました。ミザールでは初期のAR赤道儀は木製三脚でしたが、その後アルミ脚が標準となりました。アストロ光学などは、測量機用の木製伸縮脚をアルミパイプで挟んだタイプの三脚を使っていた時期もありましたね。あれは非常に頑丈でしっかりとしたものでした。通常のアルミ伸縮脚は軽量で良いのですが、タカハシの木製三脚に比べるとねじれやたわみが大きかった気がします。初期のPENTAXやビクセンのHALのように多角形断面の箱型タイプは軽くて頑丈でした。最近はスチール丸パイプの物が多くありますが、伸縮部の固定ネジが1か所しかないものが多く、伸ばし過ぎるとそこを支点にたわみが出るようです。

実家に置いてあるタカハシEM11赤道儀の脚部は、現在アルミ脚と木脚両用出来るようにしてあります。コスモの天文工房さんで製作してもらったビクセンGP-HAL三脚架台アダプターを介し、HAL130に取り付け出来るようになりました。遠征の際は軽量で展開が楽なのが便利です。

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庭で使うのなら、やはり木製のタカハシFC-L三脚の方が安定します。見た目もやっぱりこちらの方が全体のバランスが良いですね。

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三脚架台の取り付け部がスリ割りのため、三脚脱落防止用のネジが追加されています。しかし三脚固定ネジを締め込む際に、架台を上から押さえつけないと若干浮き上がることがあります。なぜここを丸穴にしなかったのか?と常々思うのですが、聞いた話では、村山定男氏が高橋喜一郎社長に「スリ割り式の方が組み立ての際に便利だ」と言い、以降SE三脚架台の発売まですべての架台がスリ割りのままになったのだとか。本当の話かどうか、定かではありませんが・・・。

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TSA102SをEM11に載せると、少々トップヘビーな感じになります。実家に置いている架台だと、SkyWatcher EQ6Rの方がしっくり来そうです。

SIGHTRON Comet Scan 10×50

サイトロンジャパンのウェブショップで、Comet Scan 10×50が会員価格13,800円で販売されていました。この価格なら買って損はないだろうというわけで、さっそく注文してしまいました。

例によって雑な梱包で送られて来ましたが、これがビクセンなら化粧箱の外側をエアパッキンで包み、スチロールのクッション材で充填された段ボール箱の真ん中に入れて送って来るでしょう。サイトロンは今回も段ボールの底に化粧箱を直置きし、その上に丸めた紙を雑に詰めただけでした。これはとにかく改善していただきたいものです。

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さて、本体はこの価格帯の双眼鏡とは思えない立派な造りで、躯体はマグネシウム合金ではなくアルミダイキャストなのか、少々重量があります。

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早速地上風景を観察してみました。
せっかくなので、同スペックのCARL ZEISS DEKAREM 10×50と、ビクセンASCOT 10×50との比較観察にしました。

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まずComet Scanです。
cometscan

発色は自然で、中心部は十分シャープに見えます。糸巻型の湾曲があり、視野の60~70%あたりからだんだんと像が甘くなります。周辺部はかなり前ピンになっています。像の崩れは緩やかな感じで、星を見ても最周辺以外は見苦しさはありません。

ZEISS DEKAREMです。
dekarem

発色が昔のニコンと同じく、かなり暖色系に振れます。視野がかなり広く、7°を越える感じです。同じように糸巻型の湾曲がありますが、視野が広いのであまり気になりません。星を覗くと、中心部は非常にシャープな点像になり気持ちいい見え方です。これが60年以上昔の製品とは驚きです。

ビクセンの普及機クラスのアスコット10×50です。
ascot

覗き込んだとたんに「あ、上の2機種とは見え方がかなり劣るな」とわかります。全体的にシャープさに欠けますね。しかし視野が6.5°と準広角のせいか、周辺の見え方は悪くないです。しかし中心部のシャープさがないですね。合焦環のフィーリングが悪く、粘々なグリスによる重たい操作感は鳥屋さんにも敬遠されることでしょう。

驚いたのは、古いビクセンアルティマ10×42です。
ultyma

アスコットよりも格段にシャープで、さすが良い時代の日本製と感じました。中心部の見え味はDEKAREMにも比肩すると感じました。

それにしても防水型IFの10倍50ミリ双眼鏡が13,800円(税込)で買えちゃうというのは、とにかく驚きです。しかもちゃんと見えるのですから、もし買おうかどうか悩まれている方がいらっしゃれば「とりあえず買っちゃいましょう」とお勧めします。

ただし、対物レンズ接眼レンズともコバ塗りはされていません。特に接眼レンズ周辺の光りかたがけっこう激しく、コントラスト的には不利でしょう。また内部は黒塗装ではなく、黒色の樹脂のままのように見えます。細かな部分は、やはり価格なりの造りです。

落ち着いたシーイングだった月齢7.4の月

今日は日中から天気が良く、気温も久しぶりに20℃くらいまで上がりました。いきなり真夏日が来たかと思ったら、その後は雨降りの寒い日が続き、長野県では低温による農作物被害が2億円に上るというニュースがありました。

一度ジャケットを春物に変えたあと、また冬物を引っ張り出して着ていたのですが、来週はもう5月ですし、さすがにクリーニングに出しても良さそうです。

さて、夕方になっても雲ひとつない快晴、西空はうっすら夕焼けが見えました。月はほぼ天頂、周辺の星も見えているので透明度も良さそうというわけで、ささっと撮影して処理してみました。

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2023年4月27日19:15 ビクセンED103S+ケンコー2×テレプラスMC7(合成FL1,590mm F15.4) Canon EOS Kiss X7i ISO400 露出1/60s タカハシEM200Temma2Jr jpeg画像10枚をRegiStax6.1にて合成 ウェーブレット処理 PSEにてコントラスト調整

シーイングが良好だったので、いつもよりもウェーブレット処理をかなり弱めています。3と4のスライドを少し動かした程度です。

月齢9.7の月

今年は桜の開花がめっぽう早く、明日から4月9日まで上田城跡公園で開催される上田城千本桜まつりを前に、既にソメイヨシノは見頃を迎えています。入学式の頃には葉桜になってしまうかも知れません。私が子供の頃、上田市の桜は4月中~下旬に咲いていたと思うのですが、半月以上早い開花になっています。

さて春霞の眠い感じの空でしたが、今の時期は月の高度が高く、天頂近くにかかっていた月齢9.7の月を撮影しました。

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気流はさほど悪くはありませんでしたが、透明度が良くなかったですね・・・。やはり春の空はスッキリしません。

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2023年3月31日19:35 ビクセンED103S+ケンコー2×テレプラスMC7(合成FL1,590mm F15.4) Canon EOS Kiss X7i ISO400 露出1/250秒 jpeg10枚をRegiStax6.1で合成 ウェーブレット処理 PSEにてコントラスト調整 タカハシEM200Temma2Jr自動追尾

腰痛対策とも言えるか

高橋製作所の名機P-2S赤道儀は、私が天文趣味に本格的に復帰した1993年頃、今はなき中古望遠鏡ショップ「テレト」さんで購入したものです。当時、学芸大学前駅から少し歩いたところにあったお店に伺い購入しました。P型セミアポ鏡筒のレンズは、当時のタカハシ製品に多く見られたクモリが盛大に発生してたため、筒はほぼオマケのようなものでした。

話は逸れますが、1970年代製のTS式望遠鏡の対物レンズは、比較的クモリが少ないと言われます。確かに青系のモノコーティングのレンズにはあまりクモリが出ている話を聞きません。私の所有する1969年製65ミリ屈折(アクロマート)と1977年製の80ミリ屈折(セミ・アポクロマート)は、いずれもクモっていません。架台がシステム化して以降、レンズコーティングを外注で出していた先が変わってから、コーティングの質が落ちたようだと事情通に伺ったことがあります。クモリ出したレンズに指紋が浮かび上がったなんて話も聞きました。

話を戻します。
彗星の遠征撮影や、カメラレンズを使った星野写真撮影で活躍してきたP-2赤道儀ですが、純正のサクラ材を使用した三脚は軽量で便利なのですが、いかんせん短すぎます。極軸望遠鏡を覗く際に、かなり窮屈な体勢を取らなくてはならず、年齢とともに腰痛や膝の痛みを感じることが多くなりました。

では持っているPoleMasterを使えばいいのでは?となりますが、遠征には極力パソコンなど電気を食う機材は持って行きたくないのです。P-2なら単2電池4本で作動しますし、デジイチならスペアバッテリーを2本もポケットに入れていけば済んでしまいます。また極望接眼部にアングルファインダーを付けるという選択肢はどうかというと、リングレベルを装着しているため使用不能なのです。

で、少し楽な体勢で極望を覗くことが可能な長めの三脚使用を考えました。所有する三脚の中から、現在はGP赤道儀とHF経緯台に使用しているGP HAL130を使えるようにすることとしました。例によってCOSMOの天文工房の阿部さんにお願いし、GP HAL⇒P-2アダプターを製作していただきました。

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納期は約4週間、最初に連絡いただいた期日にしっかりと届きました。

P-2赤道儀の架台取付ネジは、赤道儀側に付いた極軸方位調整機構のため、EMシリーズのような1/2インチネジではありません。定心桿というような太いネジです。この中心に三脚の固定ネジが入るネジ穴が切られているわけです(写真右のパーツ)。

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アルミ削り出しなので、非常にしっかりと出来ています。架台とも三脚とも全くガタ無しで取り付けることが出来ました。

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純正三脚に比べHALは非常にガッチリしているので、P-2赤道儀の搭載限界ほどの機材を載せても問題なさそうです。

今日の太陽面

今日は朝からそこそこ透明度の良い晴れだったので、たまには黒点でも見てみようと準備をしたのですが。

これがとにかくシーイングが悪い。アストロソーラーフィルターで減光された太陽面をカメラのファインダー越しに覗くと、黒点が見えたり消えたりという状況でした。とてもじゃないが拡大撮影は無理、全景の撮影をしてみましたが、ロクなものにはなりませんでした・・・。

とりあえずは記録として。大きかった黒点群は既に西に沈み、周辺の白斑がかろうじて見えているようです。南東から現れている黒点群が大きくなってくれると良いのですが。

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2023年3月4日9:40 ビクセンED103S+BORG1.4×エクステンダー(合成FL1,113mm F10.8) Canon EOS Kiss X7i ISO200 露出1/1250秒 バーダーアストロソーラーフィルター使用 タカハシTM200Temma2Jr太陽時追尾 jpeg画像10枚をRegiStax6.1にて合成 PSEにてコントラスト調整

月齢13.6

いよいよ今週、右目の手術になります。火曜日には人工のレンズに交換となるため、とりあえず「自分の」レンズで月を見ておこうというわけで、薄雲越しの月を眺めました。満月直前のノッペリした月は、見ても面白味は少ないですが・・・。

再来週に左目もレンズ交換になり、少しでも解像度がアップしてくれることを祈りたいと思います。

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2023年2月4日19:06 ビクセンED103S+BORG1.4×エクステンダー(合成FL1,113mm F10.8) Canon EOS Kiss X7i ISO400 露出1/640s タカハシEM200Temma2Jr自動追尾 RegiStax6.1にてjpeg10枚合成 ウェーブレット処理 PSEにてコントラスト・色相調整 四切画角にトリミング

新年撮り初めは月齢10の月

元日の夜、月を撮影しようとカメラの準備をしていたのですが、おせちを肴に少々ゆっくり飲んでいたところ、西から雪雲の切れ端が襲来してしまい撮影を断念しました。

昨夜はスッキリと晴れ月の高度も十分、ようやく撮り初めとなりました。しかしこの時期らしくシンチレーションが大きく、なかなか落ち着いた像にはなってくれませんでした。月齢10、ちょうど虹の入江が夜明けを迎えるところでした。

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2023年1月2日20:33 ビクセンED103S+ケンコー2×テレプラスDG7(合成FL1,590mm F15.4) Canon EOS Kiss X7i ISO400 露出1/160s タカハシEM200Temma2Jr自動追尾 RegiStax6.1にてjpeg画像10枚合成 ウェーブレット処理 PSEにて色相他調整 四切画角にトリミング
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