今年はとにかく天気が悪いですね。いくら梅雨時とは言っても、全国有数の少雨地域である長野県東部が、これほど毎日雨が降るというのは異常です。夜間も全く晴れない日々が続き、巷で話題になっていたネオワイズ彗星(C/2020 F3 Comet Neowise)も近日点を過ぎても全く見ることが出来ませんでした。

最後のチャンスと思っていたのが、この週末でした。月が無く、天気予報も梅雨の中休みといった感じでしたので、とにかくどこか遠征してでもと考えていました。

18日(土)、朝から庭の草刈りを行い、すっかり疲れて昼寝をしている時、携帯電話が鳴りました。星景写真をメインに撮影している知人からでした。
「ネオワイズ、今日チャンスじゃないですか?」と。私は自宅近くで撮影しようと考えていると伝えると、「美ヶ原まで上りましょう」との提案です。美ヶ原と言えば標高2,000メートルを越える、長野県の中心に位置する高原です。場所を移動すれば360°のパノラマが見られる場所ですから、北西が高度0°まで見渡せる場所もあります。しかし急カーブが続く山道を含め自宅から1時間強かかる場所、しかも自宅から見る美ヶ原方面はその時間雲の中でした。少し躊躇しましたが、彼のプッシュもあり行くと決めました。

晩酌を我慢して夕食を早めに済ませ、17:30に自宅を出発。カメラ2台にP2赤道儀とカメラ三脚、最小限度の機材を積んでの遠征です。途中、忘れ物は無いか考えながらでしたが、久々の遠征ながら問題はないと確信、現着18:40でした。

到着時は西の空に青空が出ていたのですが、機材を組んでいるうちに西から北の空を黒雲が覆ってしまい、その後は全く雲が切れませんでした。20:50に撮影を断念し、機材撤収21:00過ぎに現地を後にしました。当夜は我々以外に10名ほどが撮影に来ており、赤道儀を組んでいる方も3名ほどいたようでした。

19日(日)、夕方から天気は崩れるとの予報でしたが、前夜の悔しさが残っていた私は知人に「今夜もどう?」と電話をしました。彼はその夜地区の懇親会があり遠征は無理とのこと、さてひとりで美ヶ原まで行くのも面倒くさいなあと少々気持ちが後ろ向きになりました。しかし彗星は一期一会、行かずに後悔するより行って曇っていた方がすっきりするだろうと自分に言い聞かせ、前日と同じ時間に出動しました。

美ヶ原高原美術館の駐車場に着くと、前日にような望遠鏡やカメラをセットしている人どころか、車も殆どいません。しかも到着時は完全に雲の中で湿度100%、外に立っているだけで衣服がしっとりとして来ます。前夜は薄手のパーカーだけで来てしまい、寒さで参ってしまったので、冬用のマウンテンパーカーにオーバーズボン、寒さ対策はバッチリでしたが、こりゃ合羽を着た方が良かったか?と思うような天気でした。

やる気も失せてしまいましたが、せっかくなのでP2赤道儀とポラリエをセット、しかし北極星など見える状況ではなく、磁石で適当に北に向けた状態で組み立てました。問題はピント、何か星が見えなくては無限遠を出せません。ふと振り返ると東の低空に木星が雲間から出たり入ったりしています。慌てて2本のレンズのピント合わせを行い、固定してすぐに木星も見えなくなってしまいました。

20:00を過ぎた頃から西の空に雲の切れ間が現れ始めます。奇跡が起きるか?と祈りながら双眼鏡で掃天を始めると、「!見えた!!」慌ててカメラの画角を決めて撮影開始です。何度となく雲にかき消されながら21:00頃まで撮影を続けました。

雲の影響を受けなかったのは、ほんの数枚でしたが、135ミリと50ミリの画角で撮影が出来ました。ちゃんと処理した画像ではありませんが、記録としてアップします。

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2020年7月19日20:27 Canon EOS Kiss X7i EF50mm F1.8STM(F2.0) ISO1600 露出15秒
ビクセン ポラリエにて恒星時追尾

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2020年7月19日20:28 Canon EOS Kiss X3 EF70-200mm F4L IS USM(135mm F4) ISO1600 露出30秒
タカハシP2赤道儀にて自動追尾

P2はかなり極軸がいい加減だったので、135ミリの焦点距離でも星が少々流れてしまいました。でもまあ、あの短時間でカメラ2台、しかも予行演習無しで撮影出来たわけで、自分的にはとても満足できる結果でした。イオンテイルとダストテイルがしっかりとわかる、彗星らしい姿の彗星でした。また淡い天体を撮影するには、やはり標高の高さは重要だと再認識しました。

22:00過ぎに自宅に戻り、缶ビールを開けてひとり祝杯を上げました。