現在、品川インターシティにあるニコンミュージアムで開催中の企画展『ニコン双眼鏡100年の歴史』を見学して来ました。

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カメラメーカーのイメージが強いニコンですが(今や双眼鏡は別会社ですし)、双眼鏡製造の歴史は古く、なんと1911年(明治44年)に前身である藤井レンズ製造所が発売した国産初の双眼鏡VICTOR8×20に遡ります。

その後、現在でも販売されているコンパクト型双眼鏡MIKRONを1921年(大正10年)に開発、なんと97年間も販売が続いているという、驚異的なロングセラーです。

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品川駅から港南口に出て徒歩約5分、ニコン本社が入るビルに到着。さっそくミュージアムに飛び込み、特別展コーナーへ。VICTOR8×20から始まり、明治期から大正昭和初期までの貴重な双眼鏡はアクリルケースの中に納まっていますが、1960年代以降の双眼鏡は触る事は出来ませんが間近まで寄って見ることが出来ました。

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ベストセラー7×50CFフェザーウェイトや、天文ファンに愛用者が多い7×50トロピカルIFなど、お馴染みの双眼鏡も50年代60年代のデビューです。

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90年代以降は、ダハプリズムタイプが主流になって来ました。防振タイプもありますね。

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そして2017年デビューのWX7×50IF(後方左)、その価格にびっくり仰天でした。

光学機器は、やはり戦争によって発達してきた側面があります。ニコンは特に海軍との結びつきが強く、陸軍のトーコー(東京光学、現トプコン)、海軍のニッコー(日本光学)と言われていました。

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そんな中の双眼鏡として、航空兵が手持ちで使う5×37.5ミリ10°という超広角双眼鏡や、

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10×70ミリ空十双(写真上)、さらに軽量化のためにプリズムではなく平面鏡を使用した10×70ミリ空十双Ⅱ型(写真中)などが展示されています。また海軍士官が常に首から提げていたNOVER7×49や7×50も有名です。

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対空監視用の12センチ双眼鏡。接眼部に窒素ガス封入口が見えます。保存状態も非常によく、出来ることなら覗いてみたいと思いました。

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こちらは潜水艦搭載用の双眼鏡。全体を耐圧ケースに入れた感じで、接眼部には天然ゴムが使用されています。経年劣化でゴムは朽ちており、内部もかなり曇りが見えました。

今回の企画展の目玉は、何と言っても口径25センチ、可搬型としては世界最大の口径を誇る双眼望遠鏡です。国立科学博物館所蔵で、現存するただ1台の双眼鏡です。一般公開されるのはおよそ50年ぶり、製造コストが馬鹿みたいにかかってしまい、この試作機1台で生産が終わったようです。接眼鏡を交換することで、最大倍率はなんと250倍!70キロ遠方の集団行動、20キロ遠方の個人行動を確認できる性能を目指したそうです。

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ふと気づけば1時間以上が経過しており、もうおなか一杯な気分でした。いや、正直な気持ちとしては「ここにあるもの、全部欲しい!」でしたけど(笑)