今から40年ほど前、私が初めて赤道儀(スリービーチ60ミリ屈赤)を買ってもらった頃の事です。星仲間のK君が自慢げに持ち歩いていたのが、ニコンの7×50ミリCFの双眼鏡でした。夜、一緒に観望をしている時、覗かせてもらってビックリ!それまで覗いたどの双眼鏡よりも、非常にシャープな見え方だったのです。当時の暗い夜空に向けた双眼鏡の視野に、天の川の星々がざらざらに見えました。

このイメージは実に鮮烈でした。以来、「良く見える」双眼鏡が欲しくなります。金に糸目をつけなければ、それはもちろん良く見える双眼鏡はいっぱいあります。ニコンなら7×50ミリSP、フジノンなら7×50ミリFMT-SX、もちろんツァイスもありますよね。

中古で手に入れたニコン7×50ミリトロピカル、ビクセンのアルティマ10×42ミリなどなかなか良く見えました。もっと良く見える双眼鏡が…なんて気持ちは持ち続けていますが、さすがに10万を超えるような金額のものは買えませんね。

たまたま、懐かしの7×50ミリCFが極めて安く手に入りました。

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Nikonマークだけではなく、富士山マークのNIPPON KOGAKU入り。

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接眼部はハイアイのラバー見口ではなく、エボナイトのタイプです。状態は極めて良く、レンズ・プリズムともカビやクモリは一切なし、視軸も狂いはありません。下手をすると総革製のケースだけでも1万円を超える場合がありますが、傷みはあるものの、吊皮もしっかりとした状態です。

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接眼レンズから覗くと、綺麗な円形の射出瞳が見えます。視野角7.3°に見合った大きさのプリズムを使っていると言うことですが、案外こうした真面目に作られた双眼鏡が少ないのです。

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まだ実際の星空を見られてはいないのですが、夜景を覗いてみると、ごく弱い糸巻き型の湾曲はありますが、視野周辺でも像の崩れは少なく、IF式のトロピカルと比べても劣ってはいないようです。コーティングが半世紀前のモノコートなので、明るい光が視野外にあると少々うるさいゴーストがありますが、鏡胴内の艶消しが丁寧なので、コントラストは悪くありません。Feather-Weightと書かれていますが、そこまでは軽くない気もします。

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質実剛健、戦時中は海軍で使われていた視野角7.1°のIF式双眼鏡『ノバー』にそのルーツを持つ7×50ミリ。たぶん私とそれほど違わない年齢だと思われますが、まだまだ現役でがんばってもらおうと思っています。