以前、このブログで何度か紹介させて頂いた、初代TS65ミリ屈折赤道儀ですが(1969の片思いその2その3その4)、ここしばらく熟慮した結果、架台をヨシカワ光器さんへ修理&オーバーホールに出す事に決めました。
 
この望遠鏡は、高橋製作所が最初に国内発売した機種で、当時の製品としては画期的に頑丈で本格的な造りでした。まず、主鏡セルにしっかりとした光軸調整装置が付いている事、セルと接眼筒を鏡筒にビス留めするのではなく、ネジ込みで取り付けてある事、カメラ取り付け金具が鏡筒バンド上に装備されている事など、同時期の他社にはあまりない特徴を多く持った望遠鏡でした。
 
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私が天文に本格的にのめり込んだ頃には、既に対物レンズが3枚玉セミ・アポクロマート化され、TS65ミリ屈折赤道儀S型になっていましたが、架台や三脚は、この時のものと殆ど変っていませんでした。上位機種のD型は、オールマイティに使えるベストセラーとして大人気を博し、当時の天文雑誌に入選する多くの写真が、このD型で撮影されていたものでした。
 
その4で書いた通り、赤経軸のガタはずいぶんなくす事が出来たのですが、昨年冬に使用した時、粗動が非常に固くなり、やはりグリスの交換が必要だと感じていたのです。しかし、赤経軸を固定する真鍮製ナットの緩み止めビスの1つがネジ切れてしまった事で、素人の手には負えない状況になっていました。
 
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修理をしても、想定内の金額に収まりそうという事でしたので、昨夜架台を梱包し、今日、香川県に発送しました。
 
かかる金額をトータルすると当時の販売価格を超える費用になってしまいますが、この記念碑的望遠鏡を、出来る限り良い状態で動態保存したいと思うのです。幸い、対物レンズはクモリもカビも全くなく、ピカピカの状態です。架台が復活すれば、手動ではありますが、十分使える望遠鏡になってくれる事は間違いありません。
 
今から帰りを楽しみにしています。