安全保障関連法案についてですが。

取り残された在留邦人を乗せた米海軍艦船を駆け付け警護する事、ありえないのでは?民間人を安全に運ぶには、病院船や民間航空機で、かつ警護の軍艦が付かない場合が最良の方策である事は、国際法を知る学者の多くが指摘している事ですよね。たぶん米海軍は自国民も軍艦では運ばないでしょう。なぜなら軍艦は攻撃対象だからです。交戦国との捕虜交換船や赤十字の旗を立てた病院船を単独で運用するのは常識です。警護に軍艦を付けた瞬間、その民間船も輸送目的とみなされ攻撃対象になります。まあこれは、相手が国際法を守るという前提が必要ですけど。

同盟国・友好国への後方支援について、補給路を叩くという戦法は、ドイツが第二次大戦でUボートを使って徹底的に行いましたよね。日本も伸びきった戦線が米軍の補給路寸断作戦で維持できなくなり、孤立したガダルカナル島では、駆逐艦に糧秣や弾薬を詰め込んだドラム缶を駆逐艦で高速輸送をしましたが、わずかな量しか運べずに多くの兵が餓死したのです。逆に日本軍はビルマで、援蒋ルートと言われた中国国民党への補給路を断つための作戦を立てたわけです(結果は日本軍の敗北で、ルートを遮断する事は出来ませんでしたが)。つまり、最前線ではないから安全と言う事ではなく、むしろ補給路を叩く作戦と言うのは当たり前の戦術なのです。

戦術の専門家が、政府中枢にはいないのでしょうか?それとも、専門家の言う事を、敢えて聞かないようにしているのでしょうか?

もっとも、国家間での全面的な戦争と言うのは、今後起きる可能性は低いと思われます。現代戦では、どちらかが圧倒的に勝利する事が出来ないはずですから。しかも殆どの先進国は、人命は地球よりも重いという価値観を持つ時代です。
切れ目のない安全保障、国民の安全と財産を守ることは、政治がなすべき大きな仕事ですから、それは否定しません。しかし、目くらましのような説明でそれを推し進めようとするのは如何なものか。

政治は正攻法で徹底的に国会論議を深め、国民の理解を得るべきだと思います。

むしろ、敵国の軍隊が我が国の領土に上陸して来た時、田んぼや畑など道路以外でも戦車が走れるようにするとか、戦闘機の低空飛行を認めるとか、緊急避難措置で、戦場となる場所の住宅や個人所有の土地建物の即時接収が出来るようにするなど(もちろん、その補償についても合わせて)の法整備をするべきでは?方向指示器を出してから曲がる戦車じゃ、勝てる戦にも勝てませんよ。しっかりとした国土防衛のための法整備が出来ていれば、下手に手を出すと痛い目に遭うぞと思わせるには十分だと思いますが。