19歳、大学1年の12月に自動車運転免許を取得した私は、2年生の春に弓道部の先輩Kさんから車を買いました。熊本出身のKさんは、就職活動で故郷に戻る事が多くなり、高崎に車を置いておく必要がなくなったのでした。
 
買ったというか、買わされた車は、昭和46年式のスプリンター1400クーペでした。グレードはHi-Deluxe、タコメーターの付かない廉価版です。昭和56年当時の10年落ち、車検が毎年になっていたわけですが、とりあえず車検までだけ乗るつもりでした。価格は30,000円(!)、すでに塗装がイカれていて、シルバーメタリックがツヤ無しの灰色に変わっていました。
 
車検切れの冬までスプリンターに乗り、その後50年式のカローラクーペに乗り換えます。これは200,000円で中古車屋から買いました。この車はどうも調子が良くなくて、友人に50,000円で売り、しばらくの間は自宅の車を乗っていました。そして4年生の夏前に学生時代4台目の車として“足のいいヤツ”カリーナを買いました。
 
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カリーナ 2ドアハードトップ1600GT(昭和49年式)
 
排ガス規制未対策の2T-G(R)エンジン(DOHC1600cc 110PS)を搭載、ソレックスのツインキャブレター仕様でした。エア・エレメントは、もちろん“弁当箱”に変更してあります。上田市の中古車屋で見つけた車のため、長野ナンバーが付いています。価格は270,000円でした。当時、自販機のオペレーター(補充員)のアルバイトでけっこう稼ぎが良く、現金で購入出来ました。
 
気温が下がるとアイドリングが安定しなくなり、エンジンが息継ぎを始めるため、アイドル・アップのダイヤルが付いていました。排気音よりも吸気音が大きく、アクセルを吹かすと、エンジンルームからシューッ!というソレックスキャブの音が良く聞こえたものです。2T-Gのエンジン音は独特で、他のトヨタ車とは明らかに違うものでした。
 
吹き上がりは素晴らしく、マニュアル2速で100キロなら余裕で出ました。タイヤは前後でサイズを変えていて、フロントが175-70-13、リアが185-70-13でした。これがタイヤハウスギリギリのサイズだったのです。フロントのサスペンション・コイルを半巻カットし、少しフロントがローダウンしてありました。そのぶん、自分でヘッドライトを上向きに調整しました。
 
ステアリングは当時まだラック&ピニオンではなく、遊びが大きなものでしたが、そこは小径ステアリングに交換することでクイックなハンドリングが出来るようにしました。ただし、パワーステアリングなど付いていませんから、切り替えしなど全力を要しましたね。
 
エアコンなど当然ありません。オーディオも、購入時に着いていたのは何と8トラックでした。しかし、彼女とのデートには音楽はマル必!すぐにカーステレオを買って取り付けましたよ。
 
関越道を高崎から練馬まで、この車でずいぶん出掛けたものです。都内では、渋滞路をセカンドとサードギヤのみで走りました。2000rpmより回転を下げてしまうと、全くトルクがなくてエンストしてしまうからです。
 
しばらく調整しないとツインキャブのバランスが狂い、吹き上がりが急に悪くなります。自分でドライバーを使って調節し、2ヶ月に1回くらいは行きつけのスピードショップで、きっちりキャブセッティングをしてもらいました。
 
就職して1年ほどで、初代ビスタに乗り換える事になるのですが、このカリーナは乗っていて本当に楽しい車でした。『運転する』事の面白さ、自分で整備して調子を維持する楽しさ、今まで乗ったどの車よりも楽しかったと思います。