前フリも何もない、唐突なネタですが。
 
山田太一原作、TBSで19835月から放送された連続ドラマ『ふぞろいの林檎たち』。
 
タイトルミュージックが、サザンの『いとしのエリー』でした。正直、これで既にノックアウト状態でした。新宿の高層ビルをバックに、モノクローム風の映像で二つの手が林檎を投げ上げるオープニングの映像・・・、斬新でめちゃくちゃカッコ良かったですね。
 
主人公の仲手川良一(中井貴一)、岩田健一(時任三郎)、西寺実(柳沢慎吾)と、まるっきり同い年の私は、このドラマにめちゃくちゃ感情移入しつつ見ていました。
 
国際工業大学(架空の大学)という三流大学に通う仲手川たち三人は、看護学校や短大に通う水野陽子(手塚理美)、宮本晴江(石原真理子)、谷本綾子(中島唱子)とインチキサークルのコンパを通じて知り合います。
 
そこに伊吹夏恵(高橋さとみ)や東大を卒業したにもかかわらず、人間関係を上手く構築できない本田修一(国広富之)らが絡みつつ進行していったドラマでした。
 
パート2では、これまた三流企業に就職した三人が、結婚した晴江の家庭トラブルを契機にまた集まるというスタートから物語が始まりました。
 
大学名で就職が決まってしまうという理不尽な世の中、東大を出たからといって幸せな生活が営めないという、社会からドロップアウトしてしまった人間・・・。家庭の中もまた嫁姑の確執がありetc.・・・。フィクションでありながらどこにでもありそうな、同世代の人間が思い切り共感してしまう物語でした。
 
悩みや挫折をベースに、社会人として成長していく若者にスポットを当てた、『ドラマのTBS』の面目躍如たる、良く出来たドラマでしたね。
 
パートⅣまで制作され、次はパートⅤという時、石原真理子の暴露本『ふぞろいな真実』が出版され、番組の話はお蔵入りとなってしまいました。
 
オンタイムで体験したこのドラマは、私にとって“あの頃”を思い出させてくれる番組なのです。パートⅠから、また見直したくなっています。今の精神状態が、そうさせるのでしょうかね・・・。