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星座手帖 草下英明著  社会思想社現代教養文庫 昭和52年 初版第25刷

私が高校に入学したのは昭和52年(1977年)。
早速、天文気象班に入部し、さあ天体写真を撮るぞ!と気合いを入れたのは良いのですが、まず初めにやらされたのは、NHKラジオ第2放送の気象情報を聞いて天気図を描く事です。

毎日班室の前に、その日の天気図と予報を掲示するのが伝統でした。「ウツリョウ島では南の風 風力3 998mb 晴れ・・・」ラジオから流れるアナウンサーの抑揚の無い声を聞き漏らさないように注意し、記入し終わったら等圧線を書き込んで、今後の天気の移り変わりを予測するのです。

かなり怪しい天気図ではありますが、とりあえず書けるようになった頃、次に言われたのが、市内の書店に文庫本を予約する事でした。入部した1年生の人数分、同じ本を注文してこい、と。

取り寄せをお願いしたのが、写真の『星座手帖』でした。
四季の星座が藤井旭さんの写真で紹介され、それぞれの星座にまつわる神話、構成する星々の特徴や星雲星団、古今東西の文学作品に登場した文章、それに日本での呼び名や伝承も紹介しています。

例えば、牛かい座(うしかい座)。
…西天には冬の王者シリウスやカペラがすでに沈んで、平野の空に君臨するのは新しく到着した牛かい座の一群と、その首領のアルクトウルス。そして彼の黄金の紋章が灌漑の小川の水底に涼しく光ると、晩春の夜はやがて蛙の合唱に満たされ更けていった。
  尾崎喜八『私の山の組曲』

とまあ、こんな感じです。

で、この本に書かれた神話を、主要な星座分暗記しろというわけです。

文化祭の展示で、自作ドームによるプラネタリウム上映を行うのですが、この説明員が1年生の仕事でした。

真っ暗なドームの中のことですから、これはもう暗記するしかないわけで、何度も繰り返し読んで、おおむね星座ごとの神話と、その関連付けも覚えました。

おかげで文化祭での説明員の仕事も、どうやら及第点をもらえたようでした。

さて、この星座手帖ですが、初版第1刷は昭和44年(1969年)です。その後新装版になり、サイズが大型化して、藤井旭さんの写真も新しいものに差し替えられました。

ある時書店で新装版を見つけ、懐かしさもあって購入しました。

その後、実家の書棚から、高校1年の時に買ったもの(写真の本)が見つかり、今私の手許には新旧2冊の星座手帖があるのです。