11月24日

今日は『東京天文台設置記念日』です。

1921年(大正10年)11月24日、東京麻布台に東京帝国大学東京天文台が設置されました。1878年(明治11年)に、東京帝国大学構内(本郷)に設置された理学部星学科観象台を前身にしていました。

その後、内務省や海軍省の当該部署を統合し、夜空が明るくなった東京中心部から三鷹に場所を移し、現在に至っています。

海軍省というと、え?と思う方も多いと思いますが、天体の運行は艦船の航海には非常に重要な事なのです。

最近まで、海上保安庁内にある水路部では、天体望遠鏡を使った観測を行っていたくらいです。

東京天文台は、現在国立天文台として、三鷹に本拠を置きながら、各地に設置した光学・電波望遠鏡を使った観測業務を行っています。

先日、ちょっと寂しいニュースがありました。
乗鞍岳山頂近くにあった、乗鞍コロナ観測所が閉鎖されるとの事。晴れていなければ観測できない地上の天文台に比べ、太陽観測衛星なら大気の揺らぎもなく一年中観測が出来ます。

乗鞍コロナ観測所は、1949年から60年にわたって太陽コロナの観測に携わってきましたが、2010年、その役目を終える事になります。

年々夜空が明るくなり、国内での光学望遠鏡を使った天体観測が難しくなっています。営業していないのに点灯しているネオンサイン、必要以上に明るくされた屋外照明。夜の明るさが、豊かさの象徴のようにもてはやされた昭和の時代がありました。

東京天文台は、麻布台から三鷹に光害を避けて大正年間に移設されました。そして埼玉県堂平山や長野県木曽、岡山県竹林山に拠点を置いて光学観測をしてきましたが、今やハワイマウナケア山頂のすばる望遠鏡での観測が、その中心になっています。

昔の夜空の暗さを取り戻す事は、たぶんもう不可能でしょう。そういう生活には戻れないからです。
しかし、少なくも天の川を肉眼で見る事が出来るくらいの星空を、もっと気軽に楽しめる環境が欲しいと思います。