天体望遠鏡のすべて 1975年版 地人書館刊
星に興味を持ち始め、天体望遠鏡が欲しくて欲しくてたまらなかった頃、『天文ガイド』や『天文と気象』の望遠鏡メーカー広告を毎月穴が開くほど見ていました。
2年に1度刊行される『天体望遠鏡のすべて』は、実際の使用者の声が掲載されていて、その望遠鏡の長所短所を知る事が出来る、貴重な資料でした。田舎に住んでいると、そうした情報が全く入って来ないのですから。
70年代半ば、国内の望遠鏡メーカーもまだまだ元気。たくさんのメーカーがしのぎを削っていました。
この本に掲載されているメーカーを列挙すると・・・、
旭精工研究所、アストロ光学工業、エイコー、カートン、関西光学、清原光学、ケプラー、ケンコー、五藤光学研究所、スリービーチ、成東商会、西村製作所、日本光学工業、高橋製作所、ビクセン、日野金属産業、三鷹光器、山本製作所
懐かしい名前が多いですね。
目次では
・天体望遠鏡を使いこなすための実際的基礎知識 太田健太郎
・失敗しない天体望遠鏡の買い方と選び方 山田卓
・付属されているアクセサリーの用途とその上手な使い方 原田光次郎
・観測を成功させるための屈折と反射望遠鏡の事前点検法 太田健太郎
・星をみるために役立つ三つの体験的アドバイス 高橋実
・望遠鏡の性能をすぐ向上させる接眼レンズの検討法 原田光次郎
・メーカーが推薦する名機 各社
・口径別 いま売り出されている天体望遠鏡 写真特集
・グラビア/自慢の愛機
自慢の愛機の機種を見ますと
TS式65ミリ屈折赤道儀(S型)
アストロ60ミリ屈折赤道儀(S-5型)
カートンコメットシーカー60ミリ屈折赤道儀
五藤光学80ミリ屈折赤道儀
日本光学80ミリ屈折赤道儀(2名)
日野金属100ミリ反射赤道儀(H-100)
西村製作所150ミリ反射赤道儀
旭精工160ミリ反射赤道儀(スカイルック160B)
日本光学150ミリ屈折赤道儀
最大口径が160ミリ、時代を感じさせます。
因みに当時の価格ですが、アストロS-5型が¥57,000-、TS式65ミリD型が¥108,000-、ニコン80ミリ屈折赤道儀(三脚式)が¥265,000-、アスコスカイルック160Bが¥340,000-となっています。
確かこの1年ほど前に、ニコンが80ミリ屈折の価格を引き上げ、いきなり10万円くらい定価が上がりました。狂乱物価なんて言葉が、天文雑誌の読者の投稿に書かれたものです。
スリービーチの60ミリ屈折で痛い目に遭った私は、この本と77年版を読み、次の望遠鏡をTS式80ミリ屈折赤道儀に決めたのでした。値段と性能を総合的に判断した結果なのですが、憧れはニコン80ミリ、アスコスカイルック160の2機種でした。