大怪獣バラン 1958年(昭和33年)東宝映画
ゴジラ、ラドンに次ぐ東宝怪獣として(ゴジラの敵役でアンギラスがいましたが)、昭和33年に公開された『大怪獣バラン』。東宝怪獣映画としては、初のシネスコ作品です。
北上川上流にある岩屋という集落では、古くから婆羅陀魏山神という異形の神を祭る風習があった。バラダギ様と恐れられていた山神は、実は中生代の恐竜の生き残りバラノポーダーだったのだ。
水棲の恐竜バランは、前足と後足の間にムササビのような皮膜を持ち、空を飛行する事も出来る。岩屋集落から外に出たバランは、首都東京に向かって進路を取った・・・。
さて、バラダギ様ですが、安永航一郎氏のギャグ漫画『県立地球防衛軍』に登場する悪の秘密結社『電柱組(木曽屋)』の
中心人物がバラダギ大佐(本名原瀧龍子)。この漫画には、伊福部あき子(作曲家伊福部昭氏)とか、マーカライト=ファープという名の改造人間(映画『地球防衛軍』に登場する秘密兵器)が登場します。安永氏の東宝特撮モノへの強い憧憬が感じられます。
話を映画に戻しましょう。
主演はバタ臭い二枚目俳優野村浩三。東宝と契約した直後、入社第1作がこの映画の主演だったそうです。ヒロインは園田あゆみ、『美女と液体人間』のグラマーなストリッパー役で知られています。他には千田是也、特撮ものでお馴染みの役者では平田明彦、土屋嘉男、伊藤久哉、桐野洋雄、田島義文。そうそう、ゴジラを演じていた中島春雄も役者として出演しています。
伝承や奇譚、そうしたおどろおどろしいものの中から、科学では解明できない怪物が出現するという、「怪獣映画はこうあるべき」的な作品だと思います。
記念碑的映画に出演したバランですが、その後は気の毒とした言いようのないものでした。『怪獣総進撃』に出た時には、着ぐるみではなく遠景撮影用のギニョールのみの出演。新たに着ぐるみを製作してもらえなかったのでしょうね。