今、PENTAXのカメラには、『ASAHI』の文字は付きません。
昔は旭光学工業という社名でしたが、CIをしてペンタックスに、そして最近HOYAのグループ企業になりました。ブローニー版から35mm、110まで、各フィルムサイズのカメラを揃え、測量器や天体望遠鏡、双眼鏡も製造していた総合光学メーカーでしたが、デジタルカメラの販売で遅れをとり、光学ガラスメーカーHOYAに吸収されてしまったのは残念な事です。
予想通りというか、昨年末に、ついに天体望遠鏡の製造から撤退を発表しました。アマチュア向けの屈折望遠鏡とすれば、世界最高峰の精度を誇るものだっただけに、残念でなりません。
1975年、それまで使っていたヤシカエレクトロ35では、星の写真が撮りにくい(バルブ使用中に電池が消耗する、レンズ交換が出来ない)という事もあり、一眼レフカメラを購入しました。
選んだカメラが、アサヒペンタックスK2です。
アサヒペンタックスと言えば、「望遠だよ望遠だよ、ワイドだよ」というCMでお馴染みだった、世界標準のプラクチカマウント(ネジ込み式マウント)一眼レフでした。
レンズ交換の簡便さや確実さで、他の主要メーカーは既にバヨネットマウントを採用しており、また、設計するレンズ後群の大口径化などもあって、ついにペンタックスもKマウントと呼ばれるバヨネット式マウントに転換、最初のカメラがK2をフラッグシップとするKシリーズです。
SMCペンタックス50mmF1.4付きで、当時10万円を超える価格でした。その後交換レンズで200mmF4と28mmF3.5、35~135mmのズームを買い足していきます。
中学校の修学旅行、高校3年間のクラス行事の殆どは、このカメラが記録しました。友人達のアルバム写真の多くは、このカメラで撮影したものが多いはずです。14歳から30代半ば頃まで、長い間使いました。彼女とのデートにも、必ず持っていったものです。
ウエスト彗星をはじめ、たくさんの天体も撮影しました。103a-Eという、コダックの天体撮影用フィルムを使って、オリオン座のバーナードループやバラ星雲が初めて写ったのも、このカメラです。
通常の撮影では、絞り優先のAEで、ピント合わせが済めば即シャッターが切れます。縦走りメタルフォーカルプレーンシャッターのシャッター音は独特です。ミラーの戻る音と共に、「カシャン」という金属音が気持ちいいものです。
しかしもう何年も、フィルムを通した事はありません。たまにはフィルムを入れて、このカメラで写真を撮ってやりたいと思うのですが、なかなか機会がありません。